遊び人な彼に恋しました。
その答えは結局出ないまま、俺は拓海に別れを告げて教室を出た
「あっ、春先輩!」
相変わらずニコニコ笑いながら、靴箱の前で待っている平田
「あっ、悪い。待ったか?」
「いぃえ。あたしが委員会で待たせてしまったから。」
そう言ってうつ向く
きっとこんなコは男子のツボなんだと思う。
実際、平田はモテる。
少しピンクに染まった頬に、きっと男たちはノックアウトされるのだろう……
なのに、俺は……
「春先輩……」
「ん?なに、平田……」
「あの……キス、してくれませんか?」
っ……
まさかの言葉に、固まってしまった
平田とは付き合って1ヶ月くらいたつが、一切触れたりはしてない。
だからもちろんキスなんかもしてない。
それは紛れもなく、俺の心に迷いがあるからだ……
ここはヤンワリと宥めようと、口を開こうとした瞬間
――キュッ
俺の制服の袖を握って、必死な顔を平田が俺に向けた
こんなに思ってくれるヤツを、俺は裏切るのか?
いっそのこと、平田を好きになって、平田に溺れた方が楽なんじゃないか?
そんな最低の心が生まれて……
ただ、苦しみから逃げるかのように、平田を引き寄せ唇を重ねた
キスというより、ただ唇を重ねただけ。
そんな感じがした。