遊び人な彼に恋しました。


少しさくらを家を眺め、意を決してインターホンを鳴らそうと手を伸ばした瞬間―……



「何してんの……?」



後ろから聞こえた低くて冷たい声



「っ……なんでお前が」



なんで、お前が居るんだよ……




コンビニの袋を提げた楢橋が、俺を睨むようにして立っていた



「さくらなら寝てるから、帰って」



「……は?」



帰れだと……?


俺の横を通りすぎ、ポケットから取り出した鍵



――ガチャッ


その鍵で当たり前のように、ドアを開けた



「……んで」


なんでお前がさくらの家の鍵を持ってるんだよ。


さくらがお前に渡したのか……?



「さくらなら大丈夫だから。俺が看病するし」



「なっ!」


「ってか、さくらを苦しめてるお前に、さくらを任せられるわけねぇだろ。」



「っ……」



なんでそれを……



「じゃあ、そういうことで」




パタンと閉まったドアを、ただ俺は見つめとくことしか出来なかった……




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