遊び人な彼に恋しました。


「これ、読みやすい?」



「へ?」


あたしから本を受けとり、そう聞いてくる。



「聞いてる?」



「は、はいっ!読みやすいと思います。」



「本とか苦手なヤツでも大丈夫?」


「たぶん大丈夫だと思います」



「そっか……サンキュ」



へっ……?



「俺、本とかって苦手なんだよ。だからオススメとかしてくれて助かった」



「っ……」



初めて見る笑顔。



あたしはこの笑顔に、小さく胸が高鳴った……




それから何度か図書室で会うようになり、オススメの本を教えた。



そんなことを続けていたある日―……


「なぁ、矢吹。」



「ん?なに?」



「さくらって呼んでいい?」



「へっ///!?」



まさかの問いかけに、声が裏返った。



「いい?」



「っ///う、うん///」



「じゃあさくらは大和な。」



「へっ!?」



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