遊び人な彼に恋しました。


あぁ―…この瞳は、あの卒業式で見た瞳だ……



ただ、苦しそうで悲しそうにあたしを見ていた……



「さくら、逃げるなよ。」



「楢……橋くん」



「お前は、あいつのことが……相良のことが好きなんだろ?」



「っっ……」



「俺の時みたいに、何も言わずに終わらせるな」



あの時みたいに終われるの……?



楢橋くんを……大和から逃げた時のようにこのまま終わらせることが出来るの……?




そんなの……



「相良なら大分前だけど、彼女と正門から出ていったぞ。間に合うかはわかんねぇけど、追いかけたら?」



「っ……」



「行ってこい。さくら」



あぁ―……



あたしはこの優しい笑顔が大好きだったんだ。



この笑顔が、愛しくてたまらなかったんだ……




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