遊び人な彼に恋しました。


さくらのあの純粋な瞳で見られると、胸が苦しくなる……



あの瞳が嫌いだ……



綺麗で曇りのないあの瞳が、俺を苦しめる……



なのに……



――俺はあの瞳が好きでたまらない……



「春先輩……」



優しい声が、俺を呼ぶ。



俺はこのままこの幸せを掴んでいればいいんだ……



このまま平田に愛されて……



想われて過ごしていけば、楽で幸せな日々を生きていける……



これでいいんだ……



これで……




「春先輩、最近さくら先輩と話していますか?」


――ドキッ


「え……」



まさかの質問に、言葉が詰まる


「い、いや……あんまり話さないかな……?」



やっとのことで口にした言葉。


少し言葉が詰まってしまった……



「そうですか。……春先輩は、さくら先輩の噂知ってますか?」



「っ……」



さっきから心臓に悪い質問ばっかりだ……



「知ってるけど、それが何?」



少しイライラするのは、俺の焦りのあらわれに思えた……



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