遊び人な彼に恋しました。


「勝手だって分かってる……。平田をこれだけ傷つけたんだ。叩かれたたって罵ってくれたって構わない」


「っ……」


「平田の好きなようにしてくれて構わない。でも、もう気持ちは偽れない」



「っっ―…」


もう、この気持ちは偽れないんだ……



「わ、悪いと思ってるなら……」


小さなか細い声を出すために、平田が震えている口を開いた。



「行かないでください……」



「……え」


「さくら先輩のところにっ……行かないでっ……」



すがるようなに俺の腕を掴む。


小刻みに震えている手。


必死な思い―……。



全ての必死さがわかるのに……


わかるのに……


「平田……悪い」



そっと、平田の手を握ってほどいた



「今行かなかったら、俺は大切なモノを無くすんだ。……勝手なこと言ってるって分かってる。酷いヤツだってことも……」



いい人で別れられるなんて思ってない。



いい人どころか、最低な人間で終わるかもしれない……



それでも……



「俺、さくらのところに行く」


「っ―……」



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