遊び人な彼に恋しました。


「おっ、やっと帰ってきたか」


「兄貴……」



リビングからひょっこり顔を出した兄貴。


「ん?なんか元気ねぇ―な。」



はぁ―…今、兄貴と話したい気分じゃないんだけど……


「何かあったのか?」


「別に……何もない」


「何もないってな―…。そんな顔してさ。」


そんな顔って、俺は一体今どんな顔をしてるんだろう?


平田を傷つけておきながら、さくらに気持ちを伝えてない不甲斐ない顔か……?


それともそんな不甲斐ない自分が嫌で、兄貴にイラついてる顔か……?


とにかくどちらにしろ、俺は最低な顔をしているだろう……



「何かあったなら、話聞くぞ?」


「いいって。悪いけど、兄貴には話せない。」


兄貴だけじゃない。



この気持ちを今伝えたいのは、あいつだけなんだから……



「はぁ―…、お前ら2人して同じこと言うなよ―…」


……え


「お兄ちゃん寂しい―…」



しくしくとわざと泣く真似をする兄貴


「な、なぁ、お前ら……って?」



何故だか胸がドクドクと脈だっていた。


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