遊び人な彼に恋しました。


「で、でも……」


「だから、黙って……」


「あ、あの、でもさ……」



「さくら、黙って……」



「は、春?でも……」


「あぁ―っ!もう!」


仕方なく、腕の力を弱めて、さくらから少し体を離した。



「なんで素直に黙っていてくれないわけ!?」



黙って俺に抱きしめられといてよ。


「い、イヤ。だって、抱きしめるとかおかしいじゃんっ!?」


おかしい……?



「何がおかしいの……?」



「っ!何がって!あたし、春が好きだって言ったよね!?」


「っ///」


「あたし言ったじゃん。春が好きって!なのに春はあたしの気持ちなんか無視して、こうやって期待させて……」



怒ったように声を張り上げるのに、さくらの瞳はユラユラと涙で揺らいでいた



「どうすればいいのよ……」


「さくら……」


ヤバい……



「どうすればいいの……。これ以上、春を好きにさせないでよ……」



「っ///」


ヤバいだろ……



「あたし、諦めきれなくなるじゃん……」



ヤバいって……マジで……



――可愛すぎだろ、こいつ……



< 172 / 339 >

この作品をシェア

pagetop