遊び人な彼に恋しました。


うそ……


うそ……


うそっ……


ごしごしと唇を拭くけど、さっきの感触が拭いきれない。


まるで、無かったことにさせないかのように……



――ガラッ


――ビクッ



突然開いたドアに体が跳ねた


「さくら……」


「春……」


いつもなら一番会いたい人なのに、今は一番会いたくなかった……


それはきっと、あたしに後ろめたさがあるから……。


「足、大丈夫か……?」


「あっ、うん、大丈夫」



足のことなんて正直、今思い出した。



「あいつがやってくれたのか?」


ベッドに座ったままのあたしに近づいてきて、ひざまづくようにそっと足に触れた春。



「う、うん///」


いつもと違う角度に、違和感と胸の鼓動が速くなる。


< 204 / 339 >

この作品をシェア

pagetop