遊び人な彼に恋しました。


「「春―っ!行け―っ!!」」



周りの歓声が一気に上がる。


それに応じるかのように、春は1人抜いた。


「春凄いっ!!後1人じゃん!!」


瑞希がテンション上がったかのように、ピョンピョン隣で跳ねる。


後1人……


後……1人。



ドクンドクンと嫌なくらいに脈立つ。


ここからでも春が必死な様子が伺える。


精一杯走っているのか、苦しそうにうつ向き、そして……


「抜いた―っ!」


っ……



そのまま春はゴールテープにまで走り抜いた。


春は1位になった……



「やったね!!うちらが優勝じゃんっ!!」


「う……ん」


「優勝景品楽しみだね♪」


「そうだね……」


うまい笑顔が作れない。



みんな喜んでいるのに、あたしは心から喜んでいない……


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