遊び人な彼に恋しました。


「何かするわけないじゃん」


「っ―…」


……なによ、それ。



春から視線を離し、背中を向けた。


「さくら?」


そんなあたしに不思議に思ったのか、声をかける春。


「えっ、どう…「どうしたじゃないわよ!!」


――バンッ!


手元にあった自分のバックを春に向かっておもいっきり投げつけた。


「痛ぇ!!」


「もうあたし帰る!!」


投げつけたバックを取り、立ち上がった。


「ちょっ!待てって!!さく……っ」


でもすぐに掴まれた右手。


「っ―…!」


普段なら冗談でも許せてたのかも知れない。


でも、今日はどうしても許せなかった。


もう、最悪。


初デートでドキドキしてるのはあたしだけ。


緊張で手が震えそうなのを必死に隠してるのもあたしだけ。


からかわれたくらいで泣きたくなるのも……あたしだけ。


「っ、ごめん!さくら!」


ギュッと後ろから抱きしめられる。



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