遊び人な彼に恋しました。



「ばっ、バカっ!!もう知らないっ!!」


プイッと顔を背けて、どんどん歩きだしてしまったさくら。


そんな背中が凄くいとおしく感じる。


「ふっ……」


さくらを追いかけて、そのまま抱きしめる。


もう家付近だろうと、歩道だろうと関係ない。


ただギュッと抱きしめた。


「なっ!!は…「また行こうな」


「……え?」


「デート」


「う、うん///」


あぁ―…可愛い―……


さくらを手放さなくてよかった……

さくらが俺を好きになってくれてよかった……


さくらが……俺をずっと好きでいてくれてよかった。


そっと抱きしめたまま顔を近づけると、さくらも感づいたのかゆっくりと瞳を閉じた。


そして唇を重ねようとした瞬間―……


「あらっ!さくらちゃん」


「「へ……」」


突然の妨害により阻止されたキス。

きっと今の俺たちは、世界中で一番まぬけだろう……


キスをしようとしたその距離感のまま、呼ばれた方向を2人で見つめているのだから……



< 256 / 339 >

この作品をシェア

pagetop