遊び人な彼に恋しました。


「矢吹だよ……。大和は矢吹が好きだから、高校も同じところを選んだんだ……」


「嘘……」


確かに不思議だった。


もっと上を狙える楢橋くんが、なんであたしと同じ高校にしたんだろう?って……


でも……だからって……


「何があったかは知らないけど、もう一度だけ。もう一度だけ、ちゃんと大和と話してくれないか?」


「っ……む、無理だよ……」


「矢吹……」


今更何を話せって言うの?


「離れたのはあたしからだったけど!だけどっ!大和だってあたしを追いかけてすらこなかった!!」


「矢吹……」


カフェの中で突然叫んだあたしに、周りのクラスメイトから注目が集まった。


あ、あたし……


何を熱くなって……


「ご、ごめん!あたし帰る!」


「さくら!!」


「矢吹!!」


サトシくんと瑞希の呼ぶ声が聞こえたけど、それさえ無視してカフェを出た。



やめてよ……


やめてっ……


あたしの心を乱さないでっ……



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