遊び人な彼に恋しました。
「っ……」
揺らいだ春の瞳。
そして、ゆっくり離された腕。
「は……る」
あたしに背を向けて歩き出した春。
や、やだっ……
やだっ……
「ま、待って!春!!」
――パシッ
……え
掴んだ腕は、ためらいもなく振り払われた。
「や、やだっ……。待って!春っ!!」
「行くなよ!さくらっ!!」
ギュッと後ろから大和に抱きしめられる。
「やっ……!離してっ!春っ!!」
どんどん小さくなる背中。
「行かないでくれよ……。さくら……」
「やっ……」
「さくら!お願いだから!!もう二度と離したくないんだ!!」
「やぁっ―…」
どんなに泣いても……
叫んでも……
大和はあたしを離してくれなかった……
そして春の背中はそのまま小さく見えなくなった……
あたしが……
――自分で手離してしまったんだ……