遊び人な彼に恋しました。

さくらの幸せ-春Side-



――バンッ!


勢いよく閉めた玄関。


そんな音にさえイライラして、横の壁を殴った。


「な、なんだ!?」


バタバタとリビングから走ってくる兄貴を無視して、自分の部屋に向かう。


「ちょっ!待てよ!!」


パシッと掴まれた腕。


「離せよ!!」


「春っ!落ち着けって!!」


「うるせっ!!」


兄貴の腕を振り払って、部屋の中に入った。


っ―……


なんで……


なんでこんなことになったんだよ。

なんでだよ……さくら。


電話した時に感じた不安が、まさか現実になるなんて……



……―――――――――


「……もしもし」


部屋からかけた電話。


『さくら?俺。』


「春……」

……ん?


『まだクラス会だよな?』


「あっ……もう終わったよ」


『意外に早く終わったんだな』


「……うん、まぁね」


やっぱり、様子が変だ。

なんか元気がない。


『……さくら、今どこ?』


「え?今?カフェを出たばかりだけど……」


< 306 / 339 >

この作品をシェア

pagetop