遊び人な彼に恋しました。


――――――――――――……


――ドンドン


うるさい……


――ドンドン


「おいっ!春!!開けろ!さくらちゃんが来てるぞ」


っ……


「開けろよ!春!!」


――ガチャ


ゆっくりとドアを開けた。


「っ……」


すごい剣幕の兄貴の後ろに立っている、さくらの姿。


「何があったかは知らないけど、ちゃんと話せ。」


それだけ言って、兄貴はリビングに戻っていった。


「……」


うつむいてそこに立っているさくらからは表情は読み取れないものの、泣いていたことくらいわかっている。


「入れば……」


なぜ自分がここまで冷静なのか……


自分でも不思議だった。


「あの……春」


「とにかく部屋に入って。ここじゃ話しづらい」


一度上げた視線をもう一度落として、俺の部屋に入ったさくら。


やっぱり、泣いたんだな……


その涙は、あいつがぬぐったのか……?


「なにしに来たの?」


「そ、それは……」


肩を軽く押し、座るように促した。


それが今俺に出来る、精一杯の優しさだったから……

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