遊び人な彼に恋しました。


「なに?楢橋と寄り、戻すの?」


「っ……」


こんなことが言いたいんじゃない。


「それとも、俺が惨めに見えた?それで慰めにでも来たの?」


「違っ……」


わかってるよ。

さくらがそんなこと思ってないってことくらい……


「あ、あたしと大和は、確かに中学の時に体の関係があった……」


『大和』


さくらの口から出るあいつの名前にイラッとくる。


「で、でもね、今は違うの!!本当に違うんだよ!!」


掴んでくる腕から、さくらの必死さがわかる……


「じゃあ、何で?何で抱き合ってたんだよ?」


「っ……。言い訳にしかならないってわかってる……。でも、あの時『昔みたいに戻れるよな?』って大和に言われたとき……。あたし……、あたし……」


声が震え出すさくらを、おれはただ見つめていた……


「なぁ、さくら……」


「……」


「さくらが好きなのは誰?」


「っ!!そんなの……春に決まってるじゃん!!」



あぁ―……、イヤだな。


元、友達同士って……


だって……


「さくら、もうやめよう……」


「……えっ」


わかっちゃうんだよ……。


さくらに迷いがあることくらい……




< 313 / 339 >

この作品をシェア

pagetop