遊び人な彼に恋しました。


「ツラかったね……さくらっ……」


「っ―…瑞希ぃ―…」


温かい体温にすがるように、あたしも強く抱きついた。


いくら昼休みだからって、教室で抱きしめ合っているあたしたちは間違いなく注目の的だろ……


でも、そんなことさえ気にせず抱きしめ合った。


瑞希は、昼休みが終わるまでずっとあたしを抱きしめてくれていた。



「よしっ!じゃあ放課後はあたしと作戦会議だなっ!!」


作戦会議……?


「さくらのピンチはあたしのピンチだからね!」


ふっ……


瑞希なりの優しさだね。


昼休みが終わって、席に戻った。


――ガタッ


「っ……」


春の席から音がすると、どうしてもその方に意識がいってしまう。


右側が熱くなってくる……


「あっ……」


机に置いてたプリントが、ヒラッと床に落ちた。


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