遊び人な彼に恋しました。



「大和、あたしね……大和のこと好きだったよ」


「さくら……」


「確かに大和が言った通り、中学年の頃に気持ちを伝えてたら何か変わってたのかもしれない。でもね、あたしが春を好きになるのは変えられなかったと思う」


「っ……」


大和の瞳が揺らいだ。


「だってあたし、春に簡単に恋しちゃったんだもん」


一瞬にして恋をしてしまった。


『桜』を好きだと言ったあなたに、恋に落ちた。


「だからねあたし、もう戻れない。うぅん、戻りたくないの」


春を好きな気持ちを諦めたくない。


「っ……でも、あいつがさくらを好きとは限らないだろ?」


「うん。そうだね」


嫌われたのかもしれない。


愛想尽かされたのかもしれない。


それでもね、好きなのは好きなんだ。


「なんだよ……」


「大和?」


「はっ……。すっきりした顔しちゃってさ。」


頭を抱えて、少し笑みを見せた。


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