遊び人な彼に恋しました。
春とさくら-春Side-
『だってあたし、簡単に春に恋しちゃったんだもん』
『あたしには春の次なんてないの』
そんな嬉しい言葉が生徒会室から聞こえてきた。
さくらが俺を好きで、ちゃんと楢橋と話してくれたのは分かる。
ちゃんと楢橋に、さくらの決意を伝えてくれたことも。
そして、楢橋との思いをちゃんと打ち切れたのも……
ただ……
たださ……
――グイッ
「うわっ!」
ボケーとしてるさくらを、背中から抱きしめるように引っ張った。
「いつまで見つめてんだよ」
生徒会室から出ていった楢橋の背中を、ずっと見つめていたさくら。
それはもう、楢橋しか見えてないかのように……
聞き間違いか……?
さっきまで、俺のことを好きだと言っていたさくらは……?
「なっ!見つめてないでしょ!?」
「見つめてない!?あれのどこが!?」
うっとりしちゃってさ。
楢橋の方が良かったとか思ってんじゃねぇ?
……って、なんか自分で言っときながらショック。