遊び人な彼に恋しました。



プチン……


プチン……


静かな部屋に響くボタンの外れる音。


それ以上に鳴り響いている……俺の胸の音。


ドキドキなんて通り越して、ドクドクと脈だっている。


「春……」


――ドクッ


さくらに名前を呼ばれるだけで、手が震える。


こんなこと初めてだ……


今まではこんなことなかった……


体を重ねるのは、お互いの満足の為だと思ってた―……

でも―…


「さくら……好きだ」


言葉にするだけで、胸がいっぱいになる。


そして―……


「あたしも……大好きっ」


言葉1つで泣きたくなるほど嬉しくなるのも……初めてだ。


ゆっくりと進める行為に、さくらの体はどんどん赤くなる。


「春……、はる……」


繰り返される自分の名前。


名前なんて何度も呼ばれてきたし、執着なんてなかった……


でも、さくらの声で呼ばれると不思議と心が温かくなるんだ……



「さくら……」


お前も俺と同じ不思議な気持ちになってくれてるんだろうか……?


そうであると……いいな。


名前を何度も囁きながら、そっとひとつになった―……





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