遊び人な彼に恋しました。


「春?」


体育館のドアからヒョコッと顔を出して中を覗く



あっ……


スリーポイントの練習をしている春……



春の投げたボールは綺麗にシュートされた


うわっ……


横からだけの姿なのに、胸が高鳴る



カッコいい―…


「あれ?さくら?」



っ……


「今日も来てくれたの?」



「なによ、毎日来いって言ったのは春でしょ?」


少し不貞腐れた言い方をしてしまった



「そういう意味じゃなくて、てっきり生徒会で忙しいから今日は無理かと思ってたんだよ」


「来るって分かってたら自主練しなかった。」とぶつぶつ呟く春



こんな素直な反応をする春が好き……


女の扱いは大雑把で、彼女がコロコロ代わる春だけど……



意地悪してもその裏にある優しさにあたしは惹かれた……




「じゃあちょっと着替えてくるから……」


「えっ?自主練は?」


体育館端にあるタオルを取って、顔を拭く春



「あぁ、でも自主練してたらさくら送って帰れないだろ?」



そんなこと気にするなんて。


「別に1人でも大丈夫だよ。」


「ダ―メ。ちゃんと送って帰らないと。さくらは女の子なんだから」


――ドキッ



“女の子”



そのセリフが凄く嬉しい



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