遊び人な彼に恋しました。


―――――――――――……


「試合日和だな〜〜」


「………」


「春っ!お前テンション低すぎっ!!」


拓海の言葉が頭に響く


つ―か試合日和って、バスケなんだからあんまり関係なくねぇ?


室内競技なんだし。



「俺らの試合は一試合目なんだから、今すぐウォーミングアップ始めるぞ」


そう言って拓海が走り出した


そんな拓海を見て、小さくため息を吐き俺も後に続いた



一試合目ということもあり、観客はまばら


二階席にある観客を凝視する


「春っ!何してんだよっ!行くぞ」


「あ…あぁ―…」


……やっぱり来てない、か……



いくら探しても見当たらないさくらの姿


入学当初から必ず俺の試合を見に来てくれてたさくら


そんなさくらが俺の活力源だった。


試合が開始されても気になのはさくらのことばかり。



ボールよりさくらが気になって……


コートにいるのに、見てるのは観客席ばかり……



そんな状態で試合がうまくいくわけもなく……



――ピピィ―!!


試合は散々な結果で負けた。


顧問には怒られ、周りの部員からは「調子にのってるからだ」と罵倒された




されて当たり前だ……


試合より、さくらが気になって仕方なかったんだから……




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