妄想彼氏
角度を変えて何度もキスされた。

藤坂君がいるのに水季は今、何を考えているのだろう。

「…何やってるんですか。そういう事は俺がいないところでやってくれませんか?」

「ごめんね。じゃあバイバイ」

(ひぃ!火花散ってる!)

水季があまり見せない意地悪な笑顔に私は少しゾッとした。


「じゃあね前田」

藤坂君は私にニッコリ笑顔を見せ、その後水季を睨んだ。

バタン…

ドアが閉まって私は水季をキッと睨んだ。

「いくらなんでもあれはないよ!」

私は思わず涙を流してしまった。

すると水季はごめんね、と言い私の頭を撫でてくれた。


「…これだから」

水季は最後に絶対私に優しくしてくれる。

だから何故か許してしまう。


でも、私はまだ気付いていなかった。

水季の気持ちに―。




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