妄想彼氏
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「ここはこう!そっちの式はいらない!」

「も〜わかんない!」

今は水季と一緒にお勉強中。
そして数学。

なぜ私は勉強しているかと言うと、来週からはあの魔のテスト週間が始まる。

水季もテスト週間があるけど私に勉強を教えてくれてる。

迷惑はかけたくない。そう思うが水季なしで70点以上とれる訳ないので、言わない。

「…俺にとって迷惑なんじゃないかって思っただろ?」

「へ!?」

(エスパーかこの人は)

人の心を読むのが得意な幼なじみの水季君。
正直嫌がらせにしか思えない時もあったが後で何をされるか分からないのでこれも口にしない。

「俺はそんな事思った事ないぞ?むしろ利緒といれて嬉しい」

いつもいつもこの甘い言葉に惑わされてしまう。

だからこの人の回りには女子がたくさんいるのか。
本人、怖いくらいに自覚ないみたいだし。

ピンポ〜ン

すると下からインターホンの音がした。

2階の窓から下を見てみるとそこには藤坂君が立っていた。

(…傘…かな?)

その藤坂君の手元には傘のような長細いものが見えた。

(そうだ私、公園に傘を…)

(誰アイツ、もしかして藤坂ってヤツ?)

「ぉ〜い藤坂くぅん!」

私の声に気付いた藤坂君は優しく微笑み私に手を振った。

でも、その私に振っている手は急に止まった。

水季の存在に気付いたからだ。



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