一目惚れ【短編】
出会い
―――ガタンゴトン
「谷町~谷町~お降りのお客様は……」
アナウンスと共にドアが開くと、人が一斉に降りていった。
私は、一つ溜息をつき制服を整える。
空いた席を見つけると、スカートを整えながら座った。
ふぅ~~。
毎日で慣れてるけど、この満員電車がなかったら、もっと気持ちよく学校に行けると思う。
この谷町駅で、ほとんどの人が降りていく。
オフィス街だからか、乗換駅だからか分からないけど、ここで一気に人が減るから、一息つけるんだ。
膝の上に置いた学生カバンから、参考書を取り出す。
私の降りる駅は、この線の終点だから、まだまだ先は長い。
パラッと参考書を開いた瞬間、間に挟んでいた赤いシートが滑り落ちていった。
やだっ!!
そう思い、シートの落ちた方を目で追いかける。
カバンと参考書を落とさないようにしながら、シートを拾おうと手を伸ばすと……。
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