一目惚れ【短編】
「あはははは!!変わってる!!えっと…名前聞いてなかったよね?」
「えっ、そ…そうですか?坂本都姫です」
「じゃあ、都姫ちゃん。これからも宜しくね」
えっ?これからもって、どういう事?
そんな事、聞けないよぉ〜〜。
そのまま、たわいもない話をしながら、時間が過ぎて行った。
「おっ、もうこんな時間じゃん。そろそろ、帰らなきゃな」
時計を見ると、もう8時になっていた。
ヤバイじゃん!!
うち、門限8時なのにぃ〜〜。
慌ててカバンからケータイを出すと、家からの着信が。
「ごめん、遊君!!門限ヤバイから帰らなきゃ」
「えっ、マジで!?ごめん!駅まで送るよ」
「大丈夫。ありがとう!!また、遊んで下さい」
そういうと、勢いよくお店を飛び出し、
駅までダッシュした。
結局、帰ってから親に心配されて、怒られた。
学校で勉強してたから、ケータイに気づかなかったって話したら、普通に信じてくれ、胸が痛くなる。
初めて、親にウソをついた。
ごめんなさい。
でも初めてなの、こんな気持ち。
どうしたら良いか、分からないんだ。
人を好きになると、こんなにも楽しく、そして苦しくなるんだね。
鏡を見ると、不安そうな顔をしていた。
よく考えると、今日の出来事は奇跡で、私なんかが、遊君と一緒に居れる人じゃないんだよね。
一緒に歩いてて、釣り合わない……。
地味。
メガネをかけて、真っ黒な髪は2つに三つ編みにされてる。
周りは化粧とかしはじめてるけど、そういうのよく分からないし……。
なんだか、考えれば考えるほど落ち込んでしまう。
明日、桂香ちゃんに相談してみようかな……。