一目惚れ【短編】
「……って事するんだけど、桂香ちゃんどう思う?」
私は、あの後手を離されても、遊君のぬくもりが頬に残ってて、学校に着くまで何度もあの状況を思い出し、顔のほてりが冷めなかった。
教室に入るや否や、桂香ちゃんの腕を掴み、私の席まで来てもらう。
もちろん、恋の相談のため。
だって、周りに人が居たら恥ずかしいでしょ!?
そして、今朝の話をして今に至る。
「やだ、都姫ちゃん。なんだかんだ、進展してるんじゃん!!」
「し、進展とかそういうのじゃなくて、ただのお友達で……!!」
「ふふっ、それにしては、顔が真っ赤だよ」
桂香ちゃんにそう言われて、頬を触る。
確かに熱い。
「もぉぉぉぉぉ〜〜!!」
私は、手のひらに顔をうずめたまま、首を振る。
自分じゃないみたいで、何だか怖かった。
「ちょっと、都姫?ゴメンゴメン、からかい過ぎた!!」
「もう、桂香ちゃん!?」
桂香ちゃんは、私をギュッと抱きしめてくれる。
「次に、都姫がしなきゃならないことは……」
「……しなきゃならないことは?」
私は、桂香ちゃんを見上げる。
桂香ちゃんは、私を真剣な眼差しで見つめながら……。
「キス」
と、言いきった。