一目惚れ【短編】

「……って事するんだけど、桂香ちゃんどう思う?」


私は、あの後手を離されても、遊君のぬくもりが頬に残ってて、学校に着くまで何度もあの状況を思い出し、顔のほてりが冷めなかった。

教室に入るや否や、桂香ちゃんの腕を掴み、私の席まで来てもらう。


もちろん、恋の相談のため。


だって、周りに人が居たら恥ずかしいでしょ!?

そして、今朝の話をして今に至る。


「やだ、都姫ちゃん。なんだかんだ、進展してるんじゃん!!」


「し、進展とかそういうのじゃなくて、ただのお友達で……!!」


「ふふっ、それにしては、顔が真っ赤だよ」


桂香ちゃんにそう言われて、頬を触る。



確かに熱い。



「もぉぉぉぉぉ〜〜!!」


私は、手のひらに顔をうずめたまま、首を振る。

自分じゃないみたいで、何だか怖かった。


「ちょっと、都姫?ゴメンゴメン、からかい過ぎた!!」


「もう、桂香ちゃん!?」


桂香ちゃんは、私をギュッと抱きしめてくれる。


「次に、都姫がしなきゃならないことは……」


「……しなきゃならないことは?」


私は、桂香ちゃんを見上げる。

桂香ちゃんは、私を真剣な眼差しで見つめながら……。



「キス」



と、言いきった。


< 15 / 32 >

この作品をシェア

pagetop