一目惚れ【短編】
!!!!!!!!!
「ちょっと、なにいってんのぉ!!!!」
私は桂香ちゃんから離れ、大声で叫んでしまう。
「都姫ちゃん、声が大きいから!!」
桂香ちゃんはあわてて私の口を押さえると、周りのクラスメートに『なんでもない』って苦笑いしながら言ってた。
「ごめん。でも、桂香ちゃんがそんな事言うから……」
「ウソに決まってるじゃん~~。都姫がやらなきゃいけないのは、メアドをゲットする事」
おお、その手があったか!!
恋愛に疎すぎる私は、そんなことにも気付かなかったよ。
そしたら、顔を見ずに話が出来るもんね。
「そっか!!分かった。頑張ってみる」
「ほ~んと、恋愛には疎いんだから……」
ため息交じりに私を見ると、桂香ちゃんは自分のポケットからリップクリームを取り出し、私に手渡す。
「ん??」
「あげる。これ、色つきリップ。少し使ったけど、昨日買ったばっかりだから、そんなに減ってないと思うし」
「えっ、だめだよ。お金払う!!」
私が財布を出そうとすると、その手をつかみ、
「いらない。その代わり……」
そう言って、私の耳元で小声でこう言った。
「キスするときの為に、これでケアーしてね」
って、桂香ちゃんのバカァァァーーーーー!!!!!