一目惚れ【短編】
そうやって、言いつつも一日中リップをつけてたけどね。
気が付いたら、授業なんて終わっちゃってるし。
恋ってすごい……。
それにしても、このリップ、結構お気に入り。
鏡を見るたびに、ほんのりピンクに色づいた口元を見て、テンションが上がる。
他の女子も、こうやっておしゃれしてるのかな??
知らなかった……。
帰りに、桂香ちゃんを誘って、化粧品でも買いに行こうかな。
そんなウキウキした感じで鏡を見ながら歩いていると、
---バンッ!!
柱にぶつかってしまう私。
「ヤダ、都姫~~!!浮かれすぎ」
遠くからそんな私を見ていた桂香ちゃんは、笑いながら駆けよってきた。
「いたた……。ああ~~、恥ずかしい」
「遊君のことばっかり考えてるからだよ」
「そんな事……それより、桂香ちゃん。今日ヒマ??」
ぶつけたおでこをかばいながら、聞いてみる。
「ヒマだけど?」
「あのね……、お買い物に付き合って欲しいんだけど……」
「いいよ~~。さては、遊君にンゴンゴ」
桂香ちゃんが話し終わる前に、口を押さえる。
「一緒に来てくれるよね?」
私の殺気に気がついたのか、
「は、はい」
って、珍しく桂香ちゃんがタジタジに。
そうと決まれば、さっそくげた箱で靴をはき替えて、学校を出る事にした。