一目惚れ【短編】
私達が、校門を出たあたりで、遊君の学校の生徒が数人誰かを待っていた。
ウチの学校は、基本的に真面目だから、あまり他行との交流がない。
だから、こう言う事って珍しいんだけど……。
そう思ってたら、その女子グループが私に近づいてきた。
えっ……、この人たち、知らないんですけど。
「私を見ながら、可愛くないじゃん!!」
とか、
「この子が!?」
って聞こえるように話してるんだもん。
だから女子は嫌い!!!!!
「あのさぁ、佐伯遊君を知ってるでしょ??」
髪が長くて、スラっとした綺麗な人が、私に近づいてくる。
「えっ!?は、はぁ……」
その答えを聞いて、その人が後ろを振り返った。
そのグループの中の一人が、ほらねって顔でみんなにアイコンタクトをしている。
何なのよこれ!?
超感じ悪いんですけど!!!!
「何なんですか?」
私が口を開くより前に、桂香ちゃんがかみつく。
「もうさ、遊君に近づかないでくれない?」
「あんたに何の権利があって……」
さらに強気な桂香ちゃんの腕をつかみ、引き寄せた。
「桂香ちゃん」
そういって制すと、女子グループの方を向きなおす。
「どうしてですか?」
「どうしてって……、あんた自分の顔を鏡で見たことあんの?良くそんな事が言えるね」
そう言うと、笑いながらカバンの中をまさぐってた。
我慢……。
ここで、言い返したらこの人たちと、同等になっちゃう。
そう思い、うつむきながら下唇をかみしめていた。