一目惚れ【短編】
私が拾うより先に、他の人の手で拾われた。
「はい」
とっさに声のする方を見ると……。
!!!!!!
うわっ、メッチャかっこいい!!
茶色い髪でメッチャまつ毛が長くて、その奥の瞳は、色素が薄いのか、それとも朝の太陽のせいなのか茶色かった。
そして、なんたって笑顔がヤバい。
それなのに、
「ど…どーも」
なんて、可愛くもなんともない返事をしちゃってる私。
バカバカバカバカ!!!!
私はシートを受け取り、元の席に戻る。
参考書を開き、こっそり向かい側の席をチラ見。
あっ、もう寝てるし……。
腕を組んだままうつむいてしまっていて、顔が見えなかった。
もう1回見たかったなぁ。
あの制服は、星陵高校だから、私が降りる駅の2つ前の駅。
それまでの間、その人の観察ばっかりしてしまって、まったく参考書を読まなかった。
もうすぐテストなのに~~!!
そう思いながら観察してると、私の思った通り、2つ前の駅でその人は降りていく。
一瞬、気づかれないように顔を見た。
やっぱり恰好良かったな。
なんか、この電車に乗る楽しみが出来ちゃった!!
明日も、同じ電車に乗ってきたらいいなぁ。