一目惚れ【短編】
遊君が降りていきドアがしまるのを、呆然と見ていた。
何が正解?
もう、頭の中がグチャグチャ。
久しぶりに顔が見れて嬉しいけど、会ってはいけない気がして、なんだか複雑な
気持ち。
桂香ちゃん、こういう時はどうしたら良いの?
モンモンとしたまま、駅に着き学校に向かった。
歩いている時に、桂香ちゃんに今有った事をメールする。
学校に着き教室に入ったら、桂香ちゃんの方から私の腕を掴み、席に連れて行った。
「今日、来るの?」
「多分……。どうしよう、桂香ちゃん。私、どうしたら良いか分からないよぉ」
机の上に置いたカバンに、ギュッと顔を押し付ける。
「そろそろ、観念して告白しちゃえば?そしたら、あんな奴らに変な事言われないで済むし!!」
桂香ちゃんは、この前の事がよっぽどムカついたらしく、良くその話を出しては怒っていた。
「こ、告白なんて!!出来る訳ないじゃん!!それに、多分……迷惑だし」
「迷惑だと思ってる人が、電車の時間変えてでも探さないでしょ?少し冷静になりなさい!」
バシッと背中を叩かれた私は、悶えながら半泣きで桂香ちゃんを見上げる。
でも、桂香ちゃんはキッと私を睨んだまま、視線をはずさなかった。
ううっ……。
そうかもしれないけど、私、自分に自信が無いから。
「とにかく、ちゃんと観念して話しなさい」
「…………」
無言の私を無視して、桂香ちゃんは自分の席に戻って行った。