一目惚れ【短編】

何処にも逃げられるハズもなく、放課後まで桂香ちゃんに監視されながらの授業。

どうにかして、すり抜けて帰れないかって事ばかり考えていた。


だからって、別に遊君が嫌いだからとかじゃなくて、会ってしまうと気持ちを止められなくなって、私じゃなくなってしまうんじゃないかって感じて……。



怖かった。



これ以上会うと、経験不足な私には、好きを止める自信は無い。


だから、会いたくないんだ。


「都姫、帰るよ!!」


そう言われた私は、咄嗟に、


「ゴメン、ちょっと調べモノが有るから、先に帰って」


って、見え透いたウソをついてしまう。


桂香ちゃんは、『ふ〜〜〜ん』って言いながら、意味深な笑いをしながら帰って行った。



な、なによ。


あの笑顔、怖すぎ!!



私は小一時間図書室にこもり、そろそろ人が少なくなってきたのを確認して帰る事にした。


カバンに自分の荷物を居れている時、机の上においていたケータイのバイブが鳴る。



ーーーブブブブブ ブブブブブ



あれっ、お母さんからかな?

そう思い、ケータイを開く。



……知らない番号。




これって、取るべき!?

知らない人だと面倒だけど、お母さんとかになんか有ったりしたら困るし……。

なんて、悩んでる間に切れてしまう。



誰だったんだろう?




気になって着信履歴を見ながら、掛け直すかどうか悩んでいた。




その時、



ーーーブブブブブ ブブブブブ





再びバイブが鳴り、ビックリした私は、咄嗟に通話ボタンを押してしまう。


うわっ、思わずとっちゃった!!


< 23 / 32 >

この作品をシェア

pagetop