一目惚れ【短編】
何処にも逃げられるハズもなく、放課後まで桂香ちゃんに監視されながらの授業。
どうにかして、すり抜けて帰れないかって事ばかり考えていた。
だからって、別に遊君が嫌いだからとかじゃなくて、会ってしまうと気持ちを止められなくなって、私じゃなくなってしまうんじゃないかって感じて……。
怖かった。
これ以上会うと、経験不足な私には、好きを止める自信は無い。
だから、会いたくないんだ。
「都姫、帰るよ!!」
そう言われた私は、咄嗟に、
「ゴメン、ちょっと調べモノが有るから、先に帰って」
って、見え透いたウソをついてしまう。
桂香ちゃんは、『ふ〜〜〜ん』って言いながら、意味深な笑いをしながら帰って行った。
な、なによ。
あの笑顔、怖すぎ!!
私は小一時間図書室にこもり、そろそろ人が少なくなってきたのを確認して帰る事にした。
カバンに自分の荷物を居れている時、机の上においていたケータイのバイブが鳴る。
ーーーブブブブブ ブブブブブ
あれっ、お母さんからかな?
そう思い、ケータイを開く。
……知らない番号。
これって、取るべき!?
知らない人だと面倒だけど、お母さんとかになんか有ったりしたら困るし……。
なんて、悩んでる間に切れてしまう。
誰だったんだろう?
気になって着信履歴を見ながら、掛け直すかどうか悩んでいた。
その時、
ーーーブブブブブ ブブブブブ
再びバイブが鳴り、ビックリした私は、咄嗟に通話ボタンを押してしまう。
うわっ、思わずとっちゃった!!