一目惚れ【短編】
「ちょっ!!遊君!?!?離してよ!!」
そう言って、遊君の手から逃れようとする。
でも、そんな簡単に離してくれなくて……。
「だって、都姫ちゃんすぐに逃げるんだもん」
バ、バレてたか。
「わ、分かった。逃げないから離して!!」
やっと解放されたものの、私の心臓はバクバク止まらないいんですけど。
呼吸を整えながら、とにかくこの場所を離れたかった。
「どっか行こうか」
私は、近くの公園の方に歩き始める。
「どこか知ってるの?」
「公園」
上手く話せない私は、ついぶっきらぼうになってしまう。
本当は、すっごく嬉しかったよ。
でも……。
可愛くない私には、遊君を好きになる資格は無いもん。
5分ほど歩いた所に、大きな池がある公園が見えてくる。
中に入って、池の脇にあるベンチに座った。
「話しってなに?」
「…………」
「…………」
無言にならないでよ。
メッチャ気まずいじゃん。
さっきも、いきなりあんなことして。
付き合ってもいない男子に抱きしめられるなんて、マジありえないのに!!
ってか、普通の男女ってそんな感じなの?
私には、情報量が多すぎる……。
「聞いたよ、桂香ちゃんから。ごめん!!」
いきなり話し始めたうえ、いきなりの謝罪。
何のことかさっぱり分からなくて、ポカンとしちゃった。