一目惚れ【短編】

「えっ、ごめんなさい!!私、全然話が分かってないんだけど……」


頭を下げる遊君を見ながら、どうして良いか分からなかった。

すごい、挙動不審になっちゃう。

謝られる事なんて、されてないのに……。


「桂香ちゃんから、ウチの学校の生徒がココまで来たって聞いたよ。イヤな思いをさせちゃったよね……。だから、都姫ちゃんが電車の時間変えたんだって言ってたのをきいて、オレ自分の事ばっかり言ってて……マジ情けなくなったよ」



「遊君…とりあえず、頭を上げて‼」



私は、頭を下げたまま話す遊君の体を、必死に戻そうとする。


「都姫ちゃん……」


メッチャへこんでるし。

そんなに気にする事ないのに‼

もう、桂香ちゃんのバカッ。

帰りがけのあの意味深な笑いは、そういう事だったんだね。


「本当に、気にしないで‼遊君が悪いんじゃないんだし……私が……」


そう言って、言葉に詰まってしまう。


私が……可愛ければ、少しは勇気が出たかなって。


あの時、投げつけられた鏡に映る自分を見て、言葉を失った。

可愛くない。

そりゃ、彼女達があんな事を言う意味がわかる。



アレは暴言じゃない。



真実だから。



だから、言葉を返せなかった。

だって、返す言葉が見つからなかったから。


本当なんだもん。



遊君には、似合わない。


「都姫ちゃん?どうしたの?ちゃんと、都姫ちゃんの思った事を話して欲しい」


って。

今の私には、残酷な言葉。


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