一目惚れ【短編】
そして、私の目線まで下がると、2つに結んでいた三つ編みのゴムをほどいた。
遊君の思わぬ行動に、驚かされっぱなし。
フワッと髪の毛がおりてきて、頬にかかる。
「都姫ちゃん、おろした方が可愛いよ」
「えっ⁈…あっ……校則が…厳しくて」
そんな可愛げのない答え。
どこまでも真面目だよね。
「じゃあ……」
そう言うと、さっと私の髪を手でとかしながら、耳のしたで一つにしばる。
遊君に髪を触られているの、ドキドキするけど、なんだか好きだなぁ。
「学校に居る時は、こうしてみる?」
私の答えを否定しない遊君。
そんなところも、好き。
「はいっ。でも……なんでいきなりこんな事を?」
「ん?都姫ちゃんのもっと素敵に見える髪型とか、服とかずっと考えてたし、それに……」
「それに??」
いきなり、遊君の顔が近づいてきて、結んで無い方の頬にキスをおとす。
「ひやっ‼」
「キスしやすいから」
なんて、サラッと言うんだもん。
「もぉーーー‼遊君のバカッ」
恥ずかしいを通りこして、わけ分からなくなりながら遊君に反撃。
って、言っても弱々なパンチのみ。
ダサい……。
そんな私の手を、簡単に掴むと再び木の所まで押されてしまう。
えっ、デジャブ⁈⁈
でも、さっきより優しく掴まれた両手首。