一目惚れ【短編】
「ちょっと、いつになったら呼び捨てで呼んでくれるの!?」
「えっ!?呼べないよ〜」
私は、カバンの中身を机の中に入れながら、桂香ちゃんを見た。
パツッと切り揃えられた前髪の下には、パッチリとした目が私を見ている。
「それより、どうだった?彼」
いきなり振られたその話題に、動揺しちゃう。
好きな人が居るって知った日、一日中かなり使いものにならなくて、桂香にすごい心配されて……。
つい、話してしまったの。
「ちょっ‼何もないから」
「やだ、都姫真っ赤だよ‼可愛すぎじゃん」
ニヤニヤしながら私を見る桂香ちゃん。
そんな彼女に向かって、1つ咳払いをする。
「別に、勝手に見てるだけだから……どうもこうも無いの‼」
って言いながら、ドキドキしてるのが治まるのを待っている私。
ダサい。
「都姫は、欲が無さすぎなんだよー。だいたい……」
ーーーキーンコーンカーンコーン
ナイスなタイミングで、始業のベルがなり、ホームルームに。
桂香ちゃんは、慌てて自分の席に戻っていった。