一目惚れ【短編】
帰り道
最近、授業に集中出来ない。
桂香ちゃんに変な事を聞かれたせいか、遊君の事が頭から離れないんだもん。
おかげで、先生の話が頭の中を通過していく。
そんな、微妙な1日が終わり、日直の号令と共に、皆が一斉に帰り支度を始める。
私は、気分がのらないから、帰り支度もしないで、ボーっと皆を見ていた。
「都姫、帰らないの?」
「あっ、うん。もう少し、自習してく」
桂香ちゃんは、驚いた顔をしながら、
「もう、勉強する事ないじゃん!」
なんて言ってくる。
「あるよー。桂香ちゃんも一緒に自習する?」
「えっ!?あっ…いや……家の手伝いしなきゃ!!」
そう言うと、苦笑いしながらカバンを持ち帰っていった。
桂香ちゃんの後ろ姿を見送り、机の中から教科書とノートを取り出した。