一目惚れ【短編】
「……ウソ」
壁に預けていた頭を戻し、スカートを整えながら座り直した。
ドアが開くと、人が流れこんでくる。
その中に、遊君の姿が有った。
彼は、いつもの席に座ると、朝とは違いケータイをいじりはじめる。
ケータイを打ちながら、たまに切ない表情をしてるの。
なんて打ってるか、気になるじゃん!!
そんな事が分かる訳もなく、私はドキドキしながら遊君を見ていた。
遊君は、ケータイを閉じると、ため息をつきポケットにしまう。
そして、地面をジッと見つめていた。
どうしたんだろう?
朝とは全く違うし、友達といる時とも違う。
こんな遊君の姿を、初めて見たよ。
だからって、私からは何も出来るはずもなく、ただ遊君を見つめてるだけ……。
あーー、もどかしい!!