Hight

「何でお前ってそこまで分かるの?すげえよな」


「いや、他の人とは、髪型とか服装とか、ちょっと違ってたから・・・。でも、本当にそうだったんだ・・・」


崎本は笑った。

僕もその顔を見て、笑った。


「何で、崎本さんはココに来たの?」


「それが、分からないんだ」


「分からない?」


崎本は、困ったように僕を見た。


「この世界の欠点は、過去を忘れてしまうことだ」


「過去を?アルバムとか・・ないの?」


崎本は首を横に振った。


「崎本さんは、何の仕事してるの?」


「俺はー・・・、自由人、ってとこかな」


そう言うと、崎本は笑った。


「フリーター?」


「違うよ!!!」


崎本は顔を少し赤くして、否定した。


「人には言えないんだ」


「あっそ。ねえ、僕、この世界で何すればいいの?」


崎本は、椅子の背もたれに腕を置いて考えた。


「そうだな~・・・。じゃあさ、お前、世界変えてみる?」


今度は、僕が驚いた。


「は?」


「だーかーらー、お前が世界変えるんだよ」


「意味わかんねーよ」
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