いつか、きっと。
10分経ったか、20分経ったか
まぁとにかくそのくらい経って
そろそろ暇になってくると
ようやく美帆が下りてきた。
「え、あ。
なんだ、直樹まだいたんだ」
…ぐはっ、
今心臓が痛くなったのは
美帆の言葉でじゃない。
可愛すぎて
……。
髪も巻いていて、
いつも下ろしている
ちょっと茶色がかった髪を
ひとつに結ってシュシュをつけて。
なんというか、
いつもと雰囲気が違って
なぜかあせる気分になった。
「じゃあ私遅刻するから!
はやく直樹も出て」
「あ、うん」
一言しか言えないうちに
俺は家を出され、
美帆はいってしまった。
「くっそ、
何どきどきしてんだ俺」
俺も一言だけ残して
もやもやしたから
思いっきり走って家に帰った。