さくらの恋人
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少女の名前は「大島千歳」
年齢は17歳の来年音大を受験する高校3年生。
千歳は今年の春、3年生になったと同時に大輔の生徒になった。このスクールには小学、中学とクラスがあるが、千歳は中学の頃から通っている。昔からよく知っているからか、若干他の先生達の言うことを聞かない子であり、いわゆる曰く付きの物件である。
「あの子は癖が強すぎる。根は明るくていい子だからさ。頑張ってよ」とポンと肩を叩かれ、スクールの校長から大輔は任されていた。癖が強すぎる子供は教えるには体力、精神的にも力を使うため、面倒な仕事を自分に回したと大輔は感じていた。
ピアノの腕前は、いい筋をいっているようでいっていない感じだと大輔は分析した。理由はテンションでピアノを弾いていて、テンションが上がると走り気味になってしまうからであった。しかし楽しみながらピアノを弾く千歳の姿やその音色は、音大を目指しピアノを弾いた高校の時の自分を大輔に思い出させてくれた。
そう、ピアノを弾くのが楽しくて仕方がなかった姿を。