失ったモノ
屋上に出ると、どこまでも続く青い空が眼に映ります。
白い雲に輝く太陽―冷えた心と体に、ポカポカと温もりを与えてくれます。
「…良いお天気」
「だろ? ああ、摩耶(まや)もいるぜ」
「やっほ、お二人さん」
気軽な調子で声をかけてきたのは、摩耶という女の子。
「2人も来たんだ。今日は天気が良いからねぇ」
柵に背を預けながら、摩耶は心地良さそうに風に身を委ねています。
でも笑顔の彼女には一つだけ、気になる違和感がありました。
「摩耶ちゃん、今日も夏服なのね」
「んっ? …ああ、まあね。夏服の方が慣れちゃって」
まだ肌寒い季節なのに、彼女は夏の制服ばかり着ています。
以前、寒くないのかと聞いたんですけど、彼女は慣れているからと答えるだけです。
わたしは柵を両手で掴み、街並みを見下ろします。
白い雲に輝く太陽―冷えた心と体に、ポカポカと温もりを与えてくれます。
「…良いお天気」
「だろ? ああ、摩耶(まや)もいるぜ」
「やっほ、お二人さん」
気軽な調子で声をかけてきたのは、摩耶という女の子。
「2人も来たんだ。今日は天気が良いからねぇ」
柵に背を預けながら、摩耶は心地良さそうに風に身を委ねています。
でも笑顔の彼女には一つだけ、気になる違和感がありました。
「摩耶ちゃん、今日も夏服なのね」
「んっ? …ああ、まあね。夏服の方が慣れちゃって」
まだ肌寒い季節なのに、彼女は夏の制服ばかり着ています。
以前、寒くないのかと聞いたんですけど、彼女は慣れているからと答えるだけです。
わたしは柵を両手で掴み、街並みを見下ろします。