無情エキセントリック
「そう、ホッとした」
「あっ!私宿題しなきゃ!!ごめん母さんすぐ戻るからね!!!」
俺はこれ以上ボロが出ないように部屋に逃げた。
ドアを素早く閉めると足に力が抜けてドアに背中をつけたままずるっと床に足を滑らせて自分を抱きしめた。独りだと独りぼっちだと思うのは、大切な人がいても本当の自分を誰にも言えないことだと思う。寂しいと思う。哀しいと思う。俺は唇を噛んで泣くのを我慢した。なんで俺はこんなデキソコナイなんだろ?なんで俺は俺じゃ駄目なんだろう?
俺は誰?女?男?俺?私?俺は誰?
ブゥゥッゥ!!!
「うわぁ!」
ポケットから響いてきた携帯のバイブに驚いて俺は飛び起き、急いで画面も見ずに携帯をとった。
「はい!!もしもし!!」
「あ…蜷川だけど?」
「!!」
電話番号そういや交換したんだった。
「……何の用だ?」
俺は気分が気分だったからぶっきらぼうに蜷川に答えた。
「別に何もないけどさ、ちょっと気になったことがあったからさ!お前家族には話してんのか?体のこと」
「……」
「へぇ、言ってないんだ?」
蜷川はうれしそうにいう。
「だったらなんだ」
俺の声は人を突き放すような冷たさを孕んでいた。そう俺はそうやって人と深く関わることから逃げてきたんだ。そしてこれからもずっと独りで……生きていくんだ。そう思うと頭がくらくらした。
「俺、お前の気持ち少しなら分かるよ。俺だって名前純日本風なのに外見外人だし……どっちでもないからさ」
「……」
「でも俺はお前を女としか見れないよ?特に目の前で裸にでもなられ……」
「うわぁあ!!いわんでいい!!!」
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