無情エキセントリック
「誰にも言ったりしないよ。ただお前が俺の彼女になってくれさえすればな」
「なっ!!」
蜷川心地、そいつは最低な奴だったのだ。
人の嫌がる事を好んでする。奴の正体は隠れドSだったのだ。
「なぁ、蓮見!ピーマンやるよ!好きだろ?」
「先生!蓮見がこの問題解きたいんだって!!」
「蓮見、口によだれのあとついてるぞ?」
「なぁ蓮見!」
「蓮見?」
蓮見、蓮見うるせぇえぃ!!
俺は心の中で叫んだ。けれど叫ぶだけで蜷川にだけはそんな口は叩けない。だって、だって俺は、俺は、一番人に知られてはいけない秘密を知られてしまった。
もし俺が心が男だと分かったら……わかったら……きっとみんな俺のこと嫌いになるんだ。いやいや!今だって好かれてるかって言われるとそうじゃないと断言できる!!!
俺は本当は異様な存在だから、理解されない人種だから、そんな自分を気付かれてしまうことだけは避けたいんだ。くそっ!
俺は蜷川にせめてもの抵抗のつもりで思いっきり睨みを利かせて答えた。
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