蛍ノ唄
ふと気づけば、岩で囲まれた洞窟の中にいた

軽トラックぐらいは入るであろう大きさだ。

(ここ、どこ?)

薄暗く前が見えずらい

道は一本ではなく、三股ほど分かれており

片方を進めばまた分かれ道…といった不思議な構造であった

こんな場所来たことも、聞いたこともない

だが、足は自然と前へすすんでる


右…左…ここはまっすぐ…









不自然な光が見え、近寄ってゆく

やがて、煌びやかな宝石がちりばめられた小部屋のような場所に着いた

壁に彫られた穴にろうそくが置かれ、宝石が反射し部屋が良く見える

岩を砕いたときに出てきたような、おそらくエメラルドと思われる原石

木箱に入ったペンダントなどの宝飾類

真ん中にはサファイヤなどの宝石が縁取られた棺おけがおいてあり

両脇には見覚えのある――先ほど通ってきた花畑の花が手向けられていた

見る限り誰かの墓で、きちんと管理されてるように思えた

明かりが届かず見えにくいが棺おけの奥側の彫られた壁に、棺おけの小さいサイズのような
箱がおいてある

周りを見た

(誰もいない)

箱を素早く取り、元来た道を戻る


どこから来たのか、憶えていない

だが、走った。走って、走って、暗闇を走った。
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