蛍ノ唄
どのくらい時が経ったのだろう

永い眠りから覚めたように瞼を開く

時間はかなり経っていると思ったが景色は先ほどと変わらない

(帰らなくちゃ)

ココがドコだかわからないが、とりあえず箱を戻そう。

箱を持っていた右手を見るが、何もない

あれ・・・?

あ、そうか。さっき、首に…

首が見えないので触ると、少し冷たい金属が当たる

「な、ナニコレ…」

見ればそれはネックレスなようで、箱が釣り下がっている

上からも、引きちぎろうとしても取れない

「よウこそ、まヨイしニンゲん」

脳裏に声が響く

「きヲくのもリヘようコそ」

「これ、何なの!?」

声に向かって必死に叫ぶ

「ワたしハセツめいショのようなモの
こたエるコトハできナい」

どうやらこちらの話を聞く気はないらしい

「ソノハコハトルコトガデキナイ
トアルギシキヲシナクテハナラナイ」

儀式!?

「ユクガヨイ ニンゲンヨ」

後ろから無音の風が吹き、滝つぼへと落ちる

「キャアアアアアアア!」
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