男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-


二階の窓から裏庭が見えて、南は先に居た仲間に向かって手を振った。

この階段を降りれば裏庭はすぐだ。

次第に足が速くなる。



階段を降りて、角を曲がった時だった。

誰かが自分の腕を掴み、近くの使われていない教室に思いきり突き飛ばす。

「きゃっ!」

思わず悲鳴をあげてしまったことに後悔しながら、尻餅をついて痛む体を我慢して立ち上がる。

「陽!」


大丈夫か!?と教室に入ってきた。

刹那、勢いよく扉が閉まる。

バシン!

「「!?」」

そして、がちゃりと鍵が閉まる音がした。

急展開に頭がついていかない。

「おい!開けろよ!」

扉を開けようとするが、無駄だった。

使われていない教室は古い為に外側からしか鍵をあけることはできない。


「陽くんが悪いんだから!」

「え、わたっ...俺!?」

教室の外から聞こえた思わぬ声に驚く。

自分は何かした覚えはない。


「2人はずっとそこにいればいいのよ!」


聞いたことない声音の女子はそう叫ぶと走っていってしまう。

もしかして、閉じ込められた?


「しょうがない、誰か呼ぶか。」

南は携帯を取り出し、仲間に電話をかけようとしたが圏外になっている。

電波がある場所を探して教室内をウロウロしたが無意味だった。


「あー!もう!どうすんだよ!」

「...誰か来てくれるのを、待つしか...。」

ことりの言葉に、 こんなとこ誰もこねえよ! と南は声を張り上げる。
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