男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-
「さっき言ってた、話したい事っていうのは...
ことりを、スカイに、正式なメンバーにしたらどうかなって思って。」
「え!?そんなの無理でしょ。だって、スカイは男しか入れないし...
第一、今後オーディションの予定なんてないよ。」
「だよな...けど、今のスカイにはことりは必要だと思うんだ。」
ハァ、と陽はため息をつきながら言う。
考えてもいなかった事を突拍子に言う陽に驚きつつ楓は それ、本気? と問いかけた。
「うん、一応。」
「...ことりには言った?」
「言いかけたけど、やめた。...コンサート終わったら木村さんに聞いてみる。」
「絶対無理だと思うけど、やれるだけやってみれば?」
「手伝ってくれないのかよ。」
「気が向いたらね。」
僕達も部屋行く?と言えば陽は頷いた。
まだ電気が復旧しない中、足元に注意しながら楓の部屋へと向かう。
「なあ、楓。」
「何?」
「...俺、お前の事応援するよ。」
「郁の事はいいの?」
陽は郁と仲が良かった。
なのに、自分を応援すると言った彼の気持ちが良くわからない。
「うーん、よくはないけど。俺は楓に頑張って欲しいって思っただけ。」
「...意味わかんない。」
楓は思わず噴き出した。
やっぱり、ことりと双子だと改めて思う。
「ありがと、陽。」